chim↑Pom展@NAdiff A/P/A/R/T

7/7(月) Chim↑Pom 『日本のアートは10年遅れている、世界のアートも7、8年遅れている(俺たちより)』展@ナディッフ
ナディッフが恵比寿に移転して、ショップと4つのギャラリーの入ったアートコンプレックになった、そのオープニングということで、それにしても信じられないほどの人の数。長蛇の列なのを見て中に入るのは速攻であきらめた。外からガラス張りの店内のお客の向こうでKATHYが祝いの舞を踊っているのがチラっとだけ見えた。Chim↑Pomの展示は地下のギャラリーで、そこは別入口だったので見る。
ギャラリーのおそらく天井までの半分の高さまでが水没、「床上浸水」というか。茶色く濁った水面は大量のゴミが浮かんでいる。家庭から出る燃えないゴミや危険物、そしてスプレー缶や絵の具のチューブといったアート廃物も。四方のコンクリート壁はスプレーで書いたグラフィティ、いや目下話題でもある「落書き」で埋め尽くされている。(温暖化により?)水没しつある世界(アート界?)、あるいはコンクリの高架下の激しく淀んだドブ川(そこは定期的にホームレスが撲殺される場所だ)。そして、その真ん中には「小便小僧」の像が設置され、足下の水面に放尿し続けている。片隅の小さなビデオモニターには、Chim↑Pomのメンバーが当の会場で次々と放尿しまくる映像が(ってことは、当然ここの水は……)。足を踏み入れた途端に口を突いて出てくるのは「うわっ、ひでぇな……」という言葉で、それは、何か「惨事」を目の当たりにしてしまった者の科白ではないか。Chim↑Pomインスタレーションとしては、これまでになくスペクタキュラーであり、規模・物量の力もあってか圧倒的な強度を獲得している。
だが、当日そこで行われた彼等のパフォーマンスはある意味「救い」を示唆していた(かもしれない)。さっき入ったばかりの入口ドアを再びくぐると、中は真っ暗で、その中にポツポツと小さな青白い点が浮かび上がっている。ホタルだ。ゴムボートに乗ったエリィが水辺に浮かびホタルを放出しているのだ。彼女の身体にも無数のホタルが留っている。救い難く汚れた世界に飛び交うホタル。やけに感動的じゃん、困ったなー。
Chim↑Pomの作品は、もう一点あって、ショップ入口の壁に平面作品が設置されているのだが、人だかりで見えなかった。