時間がない

17日に大阪のワークショップに出かけてからのことをメモだけしておく。
8/17日
途中下車して京都アートコンプレックス1928で「ユーモアinダンス」A プロのゲネ、チェルフィッチュだけ見てから京阪で大阪へ。で、初日レクチャー。
19日
ユーモアのBプロのゲネ。この日はギリギリで全部見れた。
夜、授業の後、大谷さんはじめダンスボックスのスタッフたち、あと黒沢美香嬢と連れ立って飛田の遊郭(跡?)街へ社会見学。通りの左右にずらりと営業中の店が並び各戸の玄関先に座布団に座った女の子と「やり手婆」がセットになって客を呼び込んでいる。前を通り過ぎるとき、婆は声を出さすに激しく手招きし、女の子はこちらに向かってにっこりしてくれる。どの子も若くて可愛い。座布団しかない家は「接客中」ということだ。で、その郭街のなかにある料理屋(ここもかつては遊郭であったらしいが今はもう商売はしていない)で食事。その建物がまた素晴らしい。かつての目黒雅叙園と同じような日光東照宮もどきの江戸バロックキッチュ)。料理はまあ普通。
20日
ワークショップ終了後、新幹線最終で帰京。翌日土曜マチネのニブロール「NOTES」を見る。前半の集中と過剰さは圧倒的。後半は散漫。作品の構造(構成)の問題。あと、ダンサーがみんな振りを割と楽に踊れるようになってきてるので、「軋み」感が薄い。これは120%で踊らないとダメなんだよな。まあ、舞台が(作品にとっては)狭いので、ガーっと走り込むとかがイマイチやりづらいということもあるんだけど。パークタワーの初演以来、というかそれ以前の六本木でのファッションショー、ガーディアンガーデン・フェスの演劇版も含め、神戸KAVCトヨタアワード本選と「ノート」と名の付く公演は全部見たわけだが、結局、昨年の越後妻有トレンナーレのパフォーマンスが最高の出来で、ついに「劇場」ではそれを超えられなかったということか。カーテンコールの中席を立ち猛ダッシュして2分で新玉線のホームに。なんとか新幹線に滑り込みセーフ。とはいえ少し遅刻の18時20分からワークショップ。
22日
京都造形大山下残のソロ公演「咳をしてもひとり」があり、舞台芸術センターのSさんからもわざわざお誘いの電話を頂いたことだし、何より尾崎放哉の俳句がテキストなので、見たいことは見たい。また計算すると行って戻れないことはないのだが、さすがに連日のワークショップと移動で疲労困憊である。授業も最終日なので、大事をとってホテルで寝ていた。で、どうにか6日間のクラスを終えた。
23日
昼帰宅。夜は「ユーモアinダンス」Aプロ。やはりチェルフィッチュが圧倒的。ただこの日は京都と比べ会場が格段にデカイため、ピンマイクを使用。かえってセリフがでかく聞こえて音楽とのバランスがちょっと悪かったのが残念。どうせならステレオにしたらどうかと思った。何度か立ち位置を左右交代するので、それに合わせてパンするといいのではないか。京都でゲネを見て東京公演の前に「こんなにカラダに「来る」台詞劇(いちおう形式としては)はないよ。見ている自分の身体が、舞台上の人物(とそのお喋り)とその身体にものすごい勢いで同期していく、つまり一緒になって「踊る」という事態。驚き。」と書いたが、それを読んで舞台を見た人、数人に「すごく面白かったけど、あんたが言うように身体的に同期はしなかった」と言われた。ショック。要するに、オレが特異体質ってことか?グルーヴ体質というか。ただ、一つ言えるとしたら、「意味」(物語)を追っていっては、グルーヴなど得られないわけで、それゆえ今回はいつものセルフィッチュよりシンプルな話(構造)になっていて、一通り話(セリフ)の基本形が提示され切ったあとは、もうそこに意識が集中しないで済むようになっているわけだ。それでも意味を求める人はいるだろうし、話が展開したりオチが付く瞬間を期待する、ということがなくはない。そのへんが難しい。
24日
「ユーモア」Bプロ。ヤミーダンスがよかった。個人的にかなり好きな作品。もちろんクオリティもある。作品中「何やってんのよ?」「分からないのよ!」というコトバが出てくるが、まさにそのような「20代後半の女性の生活実感」がそこにはあった。身体表現サークル、今回は「ダラダラ感」で攻めてきたか。いいけど。
27日
黒田育世「SHOKU」。何とも壮快な気分になりました。ブッチギリ。やったね。思うに、黒田さんは近藤良平とのデュオ、そして先日の吾妻橋での身体表現サークルとの共演を経て、そうとう踊りの質が変わってきたのではないか。やってることは変わらないのだけど、心身の状態が、明るい、突き抜けている。で、そうなってかなり明らかになったことは、この表現は「口唇期的」であるからよい、ということ。生理的だがまったく性的(肛門期以後的)ではない。コドモの残酷。エログロではなく「えんがちょ」。
28日、29日
予定していたが「ユーモア」のアメリカ編、海外編、「東京ヴィナス」はパス。
30日
芸術見本市ショーケース。3チームが出演したが総じて苦しい。まず何よりも、長い作品を無理矢理短くするのは考えものだ。ただ、客席には外人も多かったし、初めて見る客も多かったはずで、それゆえか、さすがに室伏チームだけは拍手喝采であった。パフォーマンスの低調さはともかく基本的にこの作品はそれなりのものではある。おかげで、早くも北米ツアーが決まりそうで、まずは目出たい。枇杷系の「愛情18番」はトラムのときと比べれば、逆にコンパクトにまとまって「作品」としてはクリアにシェイプされたが、それだけ「窮屈」になったとも言え、ダンサー3人の本来のグルーヴが封殺されているような印象が。で、楽しいの?っていうか。もっとデタラメを、傍若無人を!ちょっと形態が似ている(女の子が数人のカンパニー)ヤミーを見た後だったので余計にそう感じたのかもしれないが。
それはそうと、この日京都のじゃれみさの制作の橋本さんに会い、見本市用の資料を頂いた。なかに僕の書いた文章の抜粋が英訳されているが、読むと「Ping-pong balls continied increasing, and were scratterd with the rose 」という箇所があり、あれ、薔薇の話なんか書いたっけ?ともとの文章を調べたら、「バラバラと散らばっていくピンポン球の」だ。「バラバラと」が「with the rose 」なわけね。とりあえず了解。