勅使川原三郎『Here to Here』

勅使川原三郎『Here to Here』@埼玉芸術劇場
先週横トリでみたパフォーマンスがとんでもなく素晴らしかったので、ちょっと物足りなく感じてしまった。照明、美術、構成ともに、きわめてクオリティの高い舞台作りであることは間違いないし、勅使川原の踊りもかなり気合いが入っていたと思うのだが、こうした完璧な舞台環境の中に置かれると、身体もまたインスタレーションの一部のように見えてしまう。いや、横トリのもインスタレーションなのだが、身体が置かれて初めて空間が成立するかのような踊りっぷりを見せられた後では、いかんともしがたい。あ、これ、こないだのDIRECT CONTACTの時に感じたことと共通してるな。「ホワイトキューブ」の危険、ってことかも。そこではダンサーがずっと運動しているにもかかわらず、妙にスタティックな無時間性が生じるのだ。しかし、つくづく、自分は「運動」が見たいのだ、と思う。運動の運動性を(観客が共有することを)阻害する要素としての、照明、セノグラフィー、ナラティブ、コンセプト、コンテキストを憎んでいる(笑)、と。