貧乏人の逆襲!

松本哉『貧乏人の逆襲!』(筑摩書房
素晴らし過ぎる! きのうまでは、ネグリ=ハートかなんか言ってる場合じゃないよ、いやあれはあれでいいんだけど、だったらパオロ・ヴィルノでしょう、という感じだったわけだが、松本哉がいた、と。「三人デモ」「クリスマス粉砕集会」を始め、この本に紹介されている彼が首謀したデモ、集会の数々はすべて第一級の「アート」だよ(もちろん運動としての成果もずば抜けているが)。この本で初めて知ったのだが彼は法政の学生の頃からとんでもない傑作を作ってきたのだ。
彼の処女作「学食闘争」は法政の学食が「ボッタクリ」商法で貧乏学生から日々搾取している(要するに、どうみても皿に盛られた量と味に対して値段が高い!)ことにあの手この手で抗議するもので、夜の間に大学の電気で大量の米を炊き、大鍋でカレーを煮込み、学食の前で「100円カレー」を売る、というようなデタラメ、クダラナ過ぎの「パフォーマンス」(もちろん、「学食の商品が全く売れないことになる」という戦果もしっかり達成)を展開したらしい。
リサイクルショップ「素人の乱」もそうだが彼の運動=作品=生活(生政治)は一環して「(ボッタクリ)資本にいかに金を流さない(頼らない)で勝手に生きる(表現行為する)か」「(大きにおせっかいな)公権力にいかに頼らない(邪魔されない)で勝手に遊ぶ(暮らす)か」ということであり、彼の企む、とんでもなくクダラナいデモ、集会にとんでもない数の「貧乏人」が集結して好き勝手してしまう図はまさに「未来の革命後の光景を先取り」(松本)して示すことなのだ。素晴らし過ぎる!