五反田団「観劇デビュー」

五反田団「長く吐息」@駒場アゴラを見る。僕のまわり(ダンスまわり)で前々から評判の劇団を遅まきながらようやく見ることができた。決してつまらなくはなかった。「ある晩、立ちションしたら尿が止まらなくなった」というのは『変身』のヴァリアントの一つではあるけど、ただし最高に「超なさけない」ヴァリアントであることは確か。これはもう「アイデア出したモン」勝ち、ということでしょう。
ワン・アイデアで、最後まで引っぱっていく(ホントは少し途中で飽きたけど)台本も立派だと思う。あ、でもそうすると、最初の「我蟹と戯れる」コントは、イントロとしてどうなんだろう。本編と全然関係ないような気が。あとから考えれば巨大蟹とかエビとスモウ取る、というところに、気持ちグレゴール・ザムザのエコーがある?いや、無理めなこじつけだが。で、この冒頭の「コント」のテイスト、っていうかあれは「コント」だよね?だって、会話がボケツッコミのお約束通りに運ばれるし。もし「コント」ではないとすると、その危惧は少しあるのだが、今どきの若者の日常会話「っぽく」はあるが、フツー絶対ありえない会話体で、もし身体的「リアル」を描こうとしている(平田オリザ派若手ということね)としたら、それにもかかわらず、作家の文体が彼の日常の会話ではなく無意識のうちに日々目にしている「お笑い」に引きづられてしまっている、という可能性もあるのかも。で、そのコントのテイストは、NHKの深夜にやってる若手お笑いのテイスト。微妙に「跳トビ」とかと違う。ベタさ加減? それはまた別の話になるけど。
ところで、「長く続く放尿=長ーいため息」ということなんだろうなということはわかるが、長く吐息をつくその理由は何なんだろうか?その「やってらんないよ」感の裏打ち(解釈はいくらでも出来るとしても)が劇の中に見えない。
繰りかえすが、それなりに面白かったのだ。前評判をさんざん聞かされてたので、こっちの期待度がちょっと高過ぎたのかもしれない。次回5月の公演「おやすまなさい」も見るつもり。その前のパルテノン多摩はちょい遠いからな。