もとファッション・ピープル(20年前)

ニブロールのファッション・ブランド「ニブロール・アバウト・ストリート」の秋冬コレクションを見に、外苑前のAIDECというインテリアのメーカーのショールームへ。
先日の「六本木ダンスクロッシング」で上演するはずだった“幻”のピースを手直ししてショウにはめ込むというので、これは見届けないわけにはいかない。当初の出演予定ダンサー、ジョアンナ・ロイド、藤瀬のり子、佐川智香に加え、康本雅子、そして三坂千絵。いやー、よかった。何かスゴク感動しちゃったよ。映像、音楽、衣装もグー、あ、きょうは服が主役だった、ゴメン。
いや、ファッション・ショウとしてもよかったのではないか。こっちはそのつもりが希薄だったにもかかわらず、自然と服に目が行った(と、もとファッション業界というか正確にはファッション・ショウ業界にいた者として、言ってみる)。今回は、動物や鳥のシルエット柄のプリントが、黒や赤の上にあしらわれたドレスやスカートが中心で、それをデタラメな重ね着スタイルやデタラメな裁縫が生むデタラメなフォルムにはめ込むことによって、「シック」とか「ジャパネスク」という言葉が「ストリート」「コドモ身体」「戦争=戦闘機」と重ね合わさって、ああ、これはやはりこの場所でなければ出てこない表現だなと思うのだった。
もちろん、それを、アントワープ派から入って、ヨージ・ヤマモト(川久保さんじゃない)を遅れて再発見した若者が、それらを充分に咀嚼しないまま、乗り越えようとしている、ということは出来る。出来るけど、そのような言い方をすることにまったく意味はない。充分に咀嚼したりなどしない(その意味するところを正確に理解し、正しい使用を遵守することなどしない)ということ、でも乗り越えちゃうということ、それが重要。
その後、南阿佐ヶ谷で降りて、久しぶりに「潮州」で食事。安くて美味い馬(マー)さんの店。スペア・リブの蒸し、水餃子、チンゲンサイの炒め(腐乳味)、田舎豆腐(潮州のマーボ豆腐)、豚肉とピータンのお粥、紹興酒(ロックで)。酔っぱらって少し声がデカくなっていたのか、突然後ろの席から「あれ?桜井さん?」という声が。「あー!」と言ったものの、誰か思い出せない。顔は見覚えがある。「久しぶりですね、ドゥクフレのとき以来ですよね」ドゥクフレ?うーん、誰だったかなー「うんうん、そうだねー」とゴマカシてしまったよ。ゴメン、メディアデザイン研究所の境さん!