フランケンvsエイリアン

先月の「オーストラリア?日本ダンスエクスチェンジ(AJdX)2006」に出演し、黒田育世+BATIKとコラボした、Dance Northe/Splinter Groupの男たちは、ゾンビもしくはフランケンシュタインのようだった。
同企画のフリークショウ「The Happyside Show」では、手足の関節をすべて外せる男がテニスラケットの輪くぐりをしてみせた。
日曜日、「シティ・オブ・ザ・リビングデッド」を観た。頭を働かせ始めた(人間に戻ろうとし始めた?)ゾンビたち。
月曜日、「ある天才少女スミレ」を観る。手塚夏子の踊りは、前の日に観た「知性の芽生えたゾンビ」のようだった。
その帰り、酔っぱらって転けた。左の背中の肋骨部分をしたたたか打った。翌日、痛みが激しいので病院に行き、レントゲンを撮ったが骨には異常はないようだ。しかし、痛みがとれない。左側に重心をかけないように動くので、フランケンのようになっている私。
水曜日、フォーサイス・カンパニーのインスタレーション・パフォーマンス「You made me a Monster」を観る。会場に入ると、グロテスクなオブジェが載ったテーブルが8つほど。よく見るとそれは紙製の骸骨のキットのパーツを出鱈目に繋ぎ合わせて上へ伸びているのだった。からわらには切り抜かれる前のキットのシートが用意されており、そのオブジェをみなさんでどんどん増殖させててくださいという。背骨の上に手の平の骨が載り、そこに脛の骨がジョイントされて、というような感じに増殖しつづけるそれは、得体の知れない生き物になっている。エイリアンの標本。レントゲンで見たばかりの肋骨を思い出す。今、これを書きながら肋骨の痛みを意識すると、その違和は、肋骨だけが自分の身体の中で別のものとして、異なるものとして存在を主張している。自分の中にある他なるもの。エイリアンの卵を抱える私の体。
やがてはじまるダンサーのパフォーマンスは、そのオブジェの複雑怪奇な形態を運動としてトレースするというものであった。それはまた自らの身体(オルガン=ツリー上の身体)に、エイリアンの(器官なき)身体を重ね、胚胎させ、走らせる、そういう試みであるだろう。
その際、あるダンサーの場合は、身体の中から暴れ出すエイリアンというより、フランケン/ゾンビの振る舞いに似てしまう。
モンスター=ゾンビ系とエイリアン系(Happysideの「脱臼男」もこちらだろう)、この2つの身体のこと、その違いも含め、考えなければいけないと思う。