落ち込む

宮沢さんの映画の上映で水戸まで行く。水戸芸術館で開催の水戸短編映画祭。もちろん一番気になるのは自分の作った音楽だ。オープニングの曲がかかった瞬間、奈落の底へ落ちた。会場(映画館ではなく、響きのよい演劇&音楽用のホール)のせいなのだろうか。もっと前へ出るべき楽器が聞こえない、さらに別の曲ではベースがボワンボワンにぼやけて、曲全体がそれに覆われてしまっていた。また別の曲ではウッドベースのウォーキング・ラインが聞こえない。惨敗である。この先どうしていいのかわからない。映画館の標準的な音響特性に則ったミックスということが映画業界的には何かあるのではないかと思うのだが、この後の上映予定は京都造形大のホールとか、パルテノン多摩のホールだったりするので、そうなるとまた別の音響特性ということになる。で、DVDにするときはまたそれ用のミックスということになるのだろうか。困った。
で、さっき宮沢さんの「不在日記」を読むと、メールで来たという観客からの鋭い指摘があって、また落ち込む。ある曲のアコースティック・ギターがいかにも「打ち込み」臭くて、生っぽくないのが残念だという。それはまったくそうなんで、使用しているサンプリング音源はいちおう生をサンプリングしたものはずなのにちょっと生っぽさに欠けるもので、だから今回作りなおした時に、色々とせこい細工をしてギリギリ違和感なく聞こえるようにはしたのだけれど、それもEQが変わってしまうと、隠し味の細工の部分の帯域の音が隠れてしまい、途端に生っぽくきこえなくなってしまうのだった。
落ち込んだけど、折角水戸まで来たので、「カフェ・イン・水戸」展をチェック。水戸市内いたるところにアート作品が、ということかと思ったら、ほとんどの作品は水戸芸術館に展示されていた。しかし、それよりも、何が「カフェ」なのかわからない。ミトゲー内展示では、前に見た小出ナオキの人形、くらいかな。あと、去年のオペラシティ『ガール・ガール・ガール』展でよかった山崎美弥子(ハワイ&清里=海と高原のひと)が、廊下の細長い展示で、これは場所がうまく使えてなくて、残念。この人の場合「お部屋」状態じゃないとダメなのかも。市内展示は、中村哲也のいつものスーパーカーくらいかな。それとアトリエ・ワンが古い木造の住宅を「半解体」したインスタレーションが面白かった。ある部屋の壁やまた別の部屋は壁も床も取払い柱だけ残すなどして、地面にすすきなどを茂らせる。なんか、雨月物語の「夢の跡の廃屋」みたいな感じ。風流。